白濁とした白

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春。私は六年生となり、父ができた。父はよく働く人で朝早く家を出て夜遅くに帰ってくる。母も父のおかげで家のことに集中できるらしく、母子二人で暮らしていたときよりずっと楽になったようだ。 ただ、私はやはりあまり父が好きではない。居間でみんなでテレビを見ているときに、私の肩に手をまわしてきたり、三人で外出するときはやたら手を繋ぎたがる。流石に六年生の私にとっては気持ち悪く思ってしまう。 「私は再婚だけど、お父さんは初婚だから距離感が分からないんだろうね」 母にそっと相談したらば、そんな風に諭された。本当にそうなのだろうか。私には父が私を性的な目で見ているような気がして気が気じゃない。 なるべく父を避けるように過ごしていたが、食事のあと、すぐに自室に引きこもるようになった私の背中を見て父がこう吐き捨てたことがあった。 「可愛くねーな!」 父の本性を見た気がした。たまたま、お酒が入っていたからだと母はやはり父を擁護するが、私は不安はどんどんと大きくなる。
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