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私が目を覚ましたとき、そこは白だった。牛乳で白く染まったベッド。その横に母はいた。
「穂花怖かったね」
そう呟く母の横には背中に包丁が刺さった父がいた。
「ごめんね。お母さん、殺しちゃった……。穂花と離ればなれになるかも知れない」
白の中に沈む私に母は抱きついて泣いた。
私は体を起こす。
「お母さん、ありがとう。怖かった……。怖かったよ!!」
母子二人で抱き合って泣いた。
母は自ら通報し、警察に連れて行かれた。私はそのまま施設へと連れて行かれた。
母が帰ってくるまで待つと決めた。
もう父親なんかいらない。母がいればいい。待てる。待てるよ。
私のためならば、人を殺すことも厭わない母。
あなたは私のただ一人の家族です。
了
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