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皇 陽里は大学の中庭に佇み目の前を行き交う学生を眺める。
気にしてみると知らない顔ばかりだ。
思えば、こんなふうに眺めた事などない。
何かを探した事も、何かを求めた事も…………
いつだって、あちらからやってくる。
飲みの誘いも、SEXの誘いも、全てが。
「陽里、明日の合コン来るんだろ?」
こんなふうに。
徐ろに背後から肩を組み、同じ学部の村田がニヤニヤと笑った。
「桜樹女子大のテニス部だぜ?日に焼けた肌、引き締まった体、んでもって巨乳揃い!美味そーじゃん」
以前にどこぞのテニス部と合コンした時は確かに巨乳が多かった。
明るく行動的、陽に焼けた肌は健康的で、SEXは楽しめたが、今は全く魅力を感じない自分がいる。
違う、そー言うんじゃない…………
「悪りぃ、パス」
陽里は肩を組んできた友の腕から抜け出し、ひらりと片手を振る。
今、触れたいと欲するのは、陽に当てた事がないような白く透き通るような肌…………
「マジかよ?!お前が合コンパスって…………ウソだろ。まさか、あれ、マジか?」
村田は目を白黒させ陽里の前へと立ちはだかる。
「謎の女探し」
「…………まーな」
陽里は村田を押し退けるとスタスタと足早に歩き出す。
謎の女、言い得て妙だがそう呼ぶしかなかった。
あれだけの妖艶さ、人目を引くであろう存在感だ、大学内で簡単に見つかると思っていた。
あの時間、あの場所に居たのなら確実に大学関係者だと思ったが、この1週間近くどこを探しても見つからない。
見つけてやる、絶対に…………
自分の中の何かが訳も分からず変化したような居心地の悪さにあれから振り回されている。
もう一度あの女に会う事ができたなら、その訳も分かるような気がした。
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