第2章 魔王を継ぐ者

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 〝ツッパリ面〟とは、勇気の意味を履き違え、悪ぶることがカッコイイのだという幻想に取り憑かれ、それが男の勲章だって信じて生きている、道を踏み外した勇者の負の側面である。ある種、中二病の一症状ともいえるだろう。 「ツッパリだろうがヤンキーだろうが今日から俺はだろうがかまわない! 有言実行、徹頭徹尾、私はやると言ったらやるのだ! 御免!」  だが、生来どこまでも真っ直ぐな性格の彼はまるで聞く耳を持たず、くるりと踵を返すと長ランをマントの如く翻し、さっさと魔王の御前から去って行ってしまう。 「これはえらいことになってしまった……誰か! ムク犬船長を呼んでください! 早くこのことをカタコリーナ王国へ知らせなくては!」  残された魔王は青い顔をさらに青くして、側に仕えるメイド達にひどく狼狽した様子でそう命じた――。
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