第5章 勇者の覚醒

1/3
19人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ

第5章 勇者の覚醒

「泣ぐ子はいねが~! ロキソ王はいねが~!」  城内へ足を踏み入れたナーマ・ハーゲーは、不気味な雄叫びを石造りの天井に響かせながら、学徒ルーパー達とともにロキソ王の捜索にとりかかる。 「キャっ…!」  すると、避難して隠れた王よりも前に、この状況においてもなおSNSをするため、宮廷画家に「もうダメ! 死ぬ~!」の題で肖像画を描かせていたコリトル姫と遭遇した。 「おまえが例のキラキラ(・・・・)姫だな? おまえみたいな悪い子は喰っじまうぞお~!」  彼女の悪い噂も耳にしていたナーマ・ハーゲーは、お仕置きしようとライト出刃包丁を頭上高く振り上げ、ありったけの恐ろしい声を出して姫に凄む。 「ひっ……あ、あなたなんか、こ、こ、怖くありませんわよ!」  だがここで、思いの外にコリトル姫はキラキラ女子としての意地を見せた。 「そ、その鉄仮面も怖がらせるためじゃなく、本当は素顔がブサイクすぎて、メイクでもカバーできないからそれで隠してるんでしょう? わ、わたしにはまるわかりですわ!」  強い恐怖心と闘いながらも、自他ともに認める王国No.1キラキラ女子として、彼女は怯むことなく言い返す。  それは、これまでにSNSでの炎上(・・)で散々に叩かれ鍛えられてきた、ダイヤモンドの如く打たれ強い鋼の心がなせる業だった。彼女の中にも知らぬ内に〝勇者〟としての種が芽生えはじめていたのである。 「フン! 言ったな小娘。これは恐怖の象徴として着けているものだ。そこまで言うなら見せてやろう。この仮面よりも恐ろしい我が素顔を! 後で泣いても知らぬからな……」  無論、ナーマ・ハーゲーも黙ってはいない。仮面の中で不敵に笑うと、姫の言を否定するかのようにあっさりその仮面をとって素顔をさらしてみせた。 「……!」  その顔を見て、姫のつぶらな瞳は大きく見開かれる。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!