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平穏な一日などありえない
「せっちゃーん。なんかね、僕ね、追っかけ回されてるんだけど、どうしたらいーかなぁ。」
「カメロ。お前、今一体どこにいる?あと、今度は何をしでかした?」
朝日が光り輝く、爽やかな朝。を見事に物騒にしてくれたトランシーバー先の相手にため息と少々のあきれを含んだ声で返事をする。
いつも通り間延びした声だが若干息が乱れている…追いかけられているのは本当らしい。行く以外の選択肢は……ないな。
確認していた書類をそっと置いて、立ち上がる。居場所を聞きながら、トランシーバーに向かって相手を撒きながら指定場所に来いと告げて連絡を切った。
糊のかかった軍服へと伸ばす、ほんの少し筋ばった手。
スラリと引き締まり余分な部分などまるでない肢体。
陶器のようになめらかな白の肌。
光を弾く、銀の短髪。
影を落とす柔らかな睫毛。
紺の軍服がよく映えるその蒼の瞳はどこまでも冷えているようで。
「氷結の薔薇」とあだ名されるその見た目は、誰もが息を呑むほど美しいが
……どこまでも冷たく、誰も近づけないように見えた。
俺の名前はセツナ・フェルテン。
軍部諜報庁長官であり、Ωという第二の性を隠して生きている。
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