わしづかみの11月~Shiho

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わしづかみの11月~Shiho

…どういう展開? 私は思いっきり戸惑っていた。 そりゃ、ね。興味はある。 筋肉フェチな私が、まだ中学生だった去年の夏、趣味が高じて訪れた陸上の全国大会で見つけた同学年の逸材、榊走くん。 彼のプロポーション、筋肉のつき具合、そのバランス。 めっちゃ好みでテンションが上がった! つい、写真撮って、自分のコレクションファイルに入れた。 私は陸上に限らず、スポーツ全般が好きで(見る専門)、様々なスポーツの情報を集めては、好みの筋肉質な男の人を見つけるのを趣味としている。 ……こんな女子高生、変態ですよな。 自覚はある。 でもさ、でもさ、それが私の癒しなんだもん! そんな私の趣味を知る数少ない友達の1人、田端佐夜から、人探しの相談を受けたのは今年の9月だった。 名前のわからないスポーツマン高校生。どうやら全国レベルの実力らしいっていう、どう考えても手がかりがなさすぎな彼を探したいという佐夜の様子は結構切羽詰まってる感じで。 佐夜の好きな人なのかなーと思った。 私の趣味のファイルが役に立つのならと、佐夜に見せたら、榊走くんが、佐夜の目的の人だったようで、もう、ビンゴーって叫びたくなったよね。 そこからの佐夜がすごかった。 榊くんを探しに、彼の住む街まで出かけて行って、見事、本人を見つけたっていうんだからびっくりだ。 志穂のおかげだってすごく感謝されたけど、佐夜の執念と行動力の賜物としか言いようがない。 はたまた、榊くんと佐夜の間にある運命……とかね。 そういう言い方の方が、ロマンチックかなぁ。 親友のラッキーを喜んでいた私だけど、ついさっき、佐夜に一緒に榊くんの街に遊びに行かないかと誘われた。 「ソウがね、志穂に会ってみたいって。」 「私に?」 「ソウにたどり着けたのは志穂のおかげだって話したら、会ってみたい、お礼を言いたいって。」 佐夜は笑顔だ。 「いやいや。お礼を言われるようなこと、なーんもしてないし。 そもそも二人のデートの邪魔するの嫌だし。」 そう言った私を佐夜がきょとんと見つめる。 「デート?」 「だって、付き合ってるんでしょ? 榊くんと。」 佐夜は、大きく目を見開き、真っ赤になって大慌てで手を振り始めた。 「違う、違う! 別にソウとは付き合ってるとかじゃない!」 ……え? 違うの? だって、9月に再会してからは、毎日連絡取ってるみたいだし、10月にはうちの街で、デートしてたじゃん。 話聞いてる限りでは、絶対付き合ってるとしか思えないんだけど!
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