わしづかみの11月~Shiho

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意外な佐夜の言葉に呆然とする私に、佐夜は言葉を続ける。 「……好きとか、付き合うとか、そんな話、どっちからも出てないの。」 佐夜は困ったように笑った。 「え……。でも、そういう関係なんだよね?」 「そういう……って、どういう……。 別にカレカノってわけじゃないの、本当に。」 「じゃあ、何?」 「え?」 佐夜は首を傾げ、軽く握った左手を顎に添えて考え込む。 その仕草に、佐夜って本当にかわいいよなーと関係ないことを思う。 佐夜は色白でサラサラの黒髪が肩を過ぎた辺りまで伸びていて、顔立ちも整った子だ。 髪に負けないくらい黒い瞳の色も、かわいらしさを際立たせていると私は常々思っていた。 背は高いとも低いとも言えないけど、体つきはすらっとしていて、でも丸みも感じさせて……うん、女の子らしいんだよね。 痩せているだけとは訳が違う。 正直、佐夜はモテる。 本人は自覚がないけど。 どっちかというと、高嶺の花な雰囲気もなくはないから、なかなか男子が告ってきたりはしてないけど、「いいよなー。」といろんな男子が噂してることを私は知ってる。 そんな佐夜に初めてできた彼氏が榊くん。 なかなかの高スペックカップルって、信じて疑わなかったのに……。 「友達……とも違うなぁ……。何なんだろね?」 佐夜はまた困ったように言う。 私にだってわかんないよ。 「でもね……。」 サヤはふわっと笑顔を浮かべた。 その可憐さに、私はハッとする。 「今の関係がすごく心地いいのは確かなんだよね……。」 ちょっと照れたような笑顔。 正直、こんな佐夜の表情を見るのは初めてだ。 かわいすぎて……私が惚れる。 ……っていうか、これが恋する乙女の表情じゃなくて、何なんだよ。
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