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意外な佐夜の言葉に呆然とする私に、佐夜は言葉を続ける。
「……好きとか、付き合うとか、そんな話、どっちからも出てないの。」
佐夜は困ったように笑った。
「え……。でも、そういう関係なんだよね?」
「そういう……って、どういう……。
別にカレカノってわけじゃないの、本当に。」
「じゃあ、何?」
「え?」
佐夜は首を傾げ、軽く握った左手を顎に添えて考え込む。
その仕草に、佐夜って本当にかわいいよなーと関係ないことを思う。
佐夜は色白でサラサラの黒髪が肩を過ぎた辺りまで伸びていて、顔立ちも整った子だ。
髪に負けないくらい黒い瞳の色も、かわいらしさを際立たせていると私は常々思っていた。
背は高いとも低いとも言えないけど、体つきはすらっとしていて、でも丸みも感じさせて……うん、女の子らしいんだよね。
痩せているだけとは訳が違う。
正直、佐夜はモテる。
本人は自覚がないけど。
どっちかというと、高嶺の花な雰囲気もなくはないから、なかなか男子が告ってきたりはしてないけど、「いいよなー。」といろんな男子が噂してることを私は知ってる。
そんな佐夜に初めてできた彼氏が榊くん。
なかなかの高スペックカップルって、信じて疑わなかったのに……。
「友達……とも違うなぁ……。何なんだろね?」
佐夜はまた困ったように言う。
私にだってわかんないよ。
「でもね……。」
サヤはふわっと笑顔を浮かべた。
その可憐さに、私はハッとする。
「今の関係がすごく心地いいのは確かなんだよね……。」
ちょっと照れたような笑顔。
正直、こんな佐夜の表情を見るのは初めてだ。
かわいすぎて……私が惚れる。
……っていうか、これが恋する乙女の表情じゃなくて、何なんだよ。
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