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「佐夜は榊くんのこと、好き、なんじゃないの?」
思わず、聞いてしまう。
聞いた私が何故かどっきどきだ。
「んー。そりゃ、嫌いなわけないよ。
でも、その、好き、の意味がね、よくわからない……かな。」
佐夜は戸惑うように言った。
「私ね、今のこの心地よさをね、手放したくないの。まだ。」
そっか……と思った。
佐夜は今の状態を壊したくないんだ。
改まって好きだの付き合うだの話になって、今の関係が変わってしまうのが嫌ってことなのかなー。
私はわかったようなわからないような気持ちを抱きながら、話を戻す。
「でさー。その二人の時間を私が邪魔するのは心苦しいんですけど。」
「あ、でも、志穂だけじゃないよ。」
佐夜の言葉が理解できず、へ? と間抜けな声を出す。
「私は私でね、ソウの友達に会いたいの。
やっぱりお礼を言わないといけない人なの。」
あぁと思いつく。
佐夜が榊くんを探しに榊くんの街に行った時。偶然、榊くんの友達に会えて、消息を聞くことができて、辿り着けたんんだって言ってたな。
その人のことかな。
「4人で会えたらなーって話になってるんだけど……。
どう?」
佐夜と榊くん、二人のところに入るよりは、もう一人誰かがいた方が助かる……かな?
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