わしづかみの11月~Shiho

5/29

10人が本棚に入れています
本棚に追加
/122ページ
             * 「サヤ!」 駅の改札を出るなり、爽やかな笑顔のイケメン・榊くんがブンブン手を振って近づいてくるのにまずびっくり。 「ソウ!」 佐夜が嬉しそうに駆け寄って手を伸ばし、榊くんも同じように佐夜に手を伸ばし、二人が指を絡めるように手を合わせた場面を見て、さらにびっくり!! これでつきあってないとか……よく言うわー。 「走、恥ずい。」 榊くんの後ろから、苦笑した男子が一人、近づいてくる。 その声に弾かれたように、榊くんと佐夜は手を離した。 「悪い。つい。ま、いつもの挨拶みたいな?」 後頭部をポリポリかきながら言い訳する榊くんの顔、ほんのり赤い。 うっ……かわいい。 なんか、幼い感じの人なんだな、榊くんって。 佐夜もほんのり頬を染めてる。 うっ……こっちもかわいい。 「二人の時にしてくれよ。 人の目も気にしろ。」 やれやれというような仕草で、榊くんに話しかけた男子くんが、佐夜と私の方を見て微笑んだ。 「初めまして……とお久しぶり……だね? 山野井秀平っていいます。どーも。」 榊くんも身長高いけど、この人も同じくらいあるなー。 二人が並ぶとそれはそれで……。目の保養になるかも。 銀の割と細いフレームのメガネをかけた山野井くんも、結構カッコいい顔立ちしてない? それよりなにより、山野井くんは柔らかい雰囲気の人だった。 榊くんもなんだよなー、柔らかい感じ。 「……どことなく似てる……。」 思わず呟いてしまった私に、榊くんと山野井くんが、えっ?と目を見開く。 「あ、私もそう思った。」 佐夜が同意する。 そうだよね。 何かこの二人、どことなくまとってる空気感が……似てる。 「どこがー?」 榊くんは心外というように疑問形。 「背の高さぐらいじゃね? 似てるの。」 山野井くんも榊くんに同調しているけど……。 「何か雰囲気というか……空気感が。」 私の言葉に二人は顔を見合わせる。
/122ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加