10人が本棚に入れています
本棚に追加
*
「俺ら、幼馴染で、家族ぐるみでずっと付き合いがあったからさ。
何というか、きょうだいみたいな感じなんだよね。」
場所を移動しようと、駅近くのファーストフード店に入った。
お昼も兼ねて、それぞれ食べ物と飲み物を買って、おしゃべりを始める。
「家族が持ってる空気感みたいな感じなのかな。
似てると思うなら。」
山野井くんの言葉に、榊くんも頷く。
「家族っていうのがしっくりくるな。確かに。」
「手がかかる弟みたいなもんだ、走は。」
「はぁ? 兄貴面すんな。同い年だろ?
兄貴は一人で十分なんだよ、俺は。」
そのやりとりを見ていた佐夜が、「ソウには惺さんっていうお兄さんがいるんだよ。」と教えてくれた。
「いいなー。私、きょうだいいないから。
本当のお兄さんがいるソウも、弟みたいな幼馴染がいる秀平くんも羨ましい。」
佐夜が男子2人に笑いかける。
「だーかーらー。俺、秀平の弟じゃないってば。
サヤ、わざと言ってるだろ?」
ちょっと拗ねた感じで言う榊くんの様子に、佐夜がクスクス笑い出す。
「ごめん、ごめん。
ソウって、ちょっとからかうと楽しくて。」
「あ、わかる、それ。」
山野井くんが佐夜に同意するもんだから、榊くんは、ますます拗ねた。
……さっきあいさつした時も思ったけど、榊くんって、こんな幼い感じの人だったんだ。
私は全国大会での精悍な姿しか見ていなかったから、何かイメージ違ったな。
最初のコメントを投稿しよう!