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「ねぇ。志穂ちゃんはきょうだいは?」
ぼんやりしてたら、榊くんに話しかけられてビックリする。
「お前……初対面でいきなり名前で……って、馴れ馴れしくない?」
山野井くんからツッコミが入る。
「え、だって、サヤから話聞いていたから、何か、別に初めてって感じもしなくて。」
「お前は、だろ? 水原さんはそう思ってないかもしれないじゃん。」
二人が言い合いを始めるから、慌てて止める。
「いいよ、いい! 大丈夫。名前で平気だよ。」
二人の男子に同時に見つめられて、ちょっとどぎまぎする。
照れるし……って、何照れてんだ、私は!
「なんだかんだ言って、いっつも走は、甘やかされるんだよなー。」
山野井くんが小さな声でぼそっと文句を言う。
「で、志穂ちゃんのきょうだいは?」
まったく気にする様子なく、榊くんが話を続ける。
何か……いいコンビ。
「3つ上のお兄ちゃんと、4つ下の妹がいるよ。」
「お兄さんもうちの学校で吹奏楽部だったんだよね。」
佐夜が情報を付け加えてくれる。
お兄ちゃんは、大学進学と同時に家を出てしまった。
結構仲が良かったし、私の趣味も呆れつつ容認してくれていて、去年の夏に榊くんが出た全国大会を見に行く時に部活を休んだ時も、夏バテで体調崩してるって話を通してくれた。
そんなお兄ちゃんだから、家を出てしまったのは、ちょっぴり寂しい。
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