第2章 新たな能力者

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 聞こえてきたその音楽は、タイトルは思いだせないけれど、どこかで聞き覚えのある旋律。  訝しげに周囲を見渡したわたしの前で、ふいに、悠然とした動作で凪先輩が制服の上着の内側から携帯電話を取り出した。  そうか、クラシック音楽は、凪先輩の携帯の着信音だったんだ。 「え? 校内って携帯は禁止じゃないんですかぁ?」  口を尖らせながら、小声で文句を言ってみる。  気にした様子もなく、窓の外へ視線を向けながらしばらく携帯でやり取りをしていた凪先輩は、通話を終えたとたん、わたしへ向きなおった。 「ぼくは生徒会長であると同時に戦隊メンバーだ。緊急時のために携帯所持は学校側の許可をもらっている。――さて。さっそくだが、きみに行ってもらいたい場所がある」  急に真面目な顔をした凪先輩をみて、わたしは緊張した。  もしかして、いよいよ実技試験がはじまるってこと?  いまの電話は、その指示だったんだ!
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