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わたしは、笑い続ける凪先輩を睨みつける。
すると、わたしの視線に気づいた彼が、困った口調で凪先輩に声をかけた。
「凪、笑いすぎ。彼女が可哀想だよ」
そんな彼に、思わずわたしは指をさして叫んだ。
「一番の原因は、あなたじゃないですかぁ!」
わたしの言葉に驚いた表情を浮かべた彼は、大きく目を見開いたあと、くしゃっと相好を崩して謝ってきた。
「ごめんごめん。そうだよね。ぼくが一番悪いよ」
そして、無抵抗をあらわすように両手をあげて、わたしに言った。
「ほら、特別。ぼくはもう逃げないから、捕まえてごらん?」
彼がそう言ったとたんに、凪先輩が我慢できないという感じで吹きだした。
なによ、このふたり。
わたしを馬鹿にして!
ふくれたまま、わたしは彼のほうへ歩きだすと、凪先輩が後ろから煽るように声をかけてくる。
「桂。彼のアバラを折るつもりで思いっきり抱きつきに行けよ」
わたしは、キッと凪先輩を振り返る。
怪力のことは内緒なのに、あんまり大きな声で言わないでよ!
それに、抱きつけだなんて恥ずかしい!
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