第2章 新たな能力者

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 彼は、わたしのほうへ手を差しのべてきた。  わたしも、おそるおそる右手をのばし、差しだされた手のひらをゆっくりとあわせる。  先ほどとは違って、その手は温かくて質感があった。  そっと引っ張り起こされ、わたしは立ちあがる。  ようやく笑いをおさめた凪先輩が、わたしと彼のほうへ近づきながら口を開いた。 「彼の名は透流(とおる)だ。メンバーのひとりであり、近くの大学に通っている」 「――大学生?」  高校生じゃないメンバーがいるんだ。  わたしの考えを読んだのか、凪先輩が言葉を続けた。 「人間の記憶力や身体能力は、一部の学説では二十歳のころが最高期だと言われている。そのためにメンバーは高校入学の時期に見つけだし、成人するまでに訓練を受けるんだ。ただ、未成年者だけの組織では行動が制限されるために、必ず成人をひとりメンバーに加えてリーダーとする」 「ぼくは、リーダーとしては頼りないんだけれどね」  照れたように笑った透流さんの言葉を聞いた凪先輩は、苦笑を浮かべた。  否定をしない凪先輩。  それって、頼りないってところを肯定しているんじゃないの? 
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