第2章 新たな能力者

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 結局、戦隊メンバー選出のための実技検査というものが、初日となる昨日のあいだに行われなかった。  全校生徒を帰してまで、大がかりの気配だったのに。  本当にそんなもの、学校内で行うものなんだろうかと疑いながら、わたしはのろのろと学校へ向かう。  実技検査だなんて、だまされているのではなかろうか。  なにも変わらない朝の風景。  出会う友人たちと挨拶を交わしながら、生徒ひとりにひとつずつ割り当てられているロッカーへ向かう。  現国の授業に合わせて、置きっぱなしにしていた国語辞典を取り出そうとして、ロッカーの扉を開いたとたんに、一枚のメモ用紙がはさまれていたことに気づいた。 「――なに? これ……」  一瞬、ラブレターかもと考えて、慌てて頭の中で否定する。  それでも淡い期待を胸に、誰も自分の行動に気にかけていないにもかかわらず、周囲の目線を気にしながら手に取った。  両手の中に包みこんで、そっと開きながらのぞき見る。  可愛げのないルーズリーフの用紙には、たったひと言が書かれていた。 『コンピューター室へ来てください』  鉛筆で書かれた、きれいな文字だ。  でも、これだけじゃ、書いたのが男子か女子かもわからない。  第一、時間が書かれていない。  すぐに来いってこと?  ひょっとして。  ――これが実技試験のはじまりなのだろうか?
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