第3章 どうやら歓迎されていないようです

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 明るさに慣れてきた視界に飛びこんできたものは、教卓の足もとへこちら向きに置かれていた一台のラジコンカー。  入ったときには気づかなかった。 「――え? なんでこんなものが学校にあるの?」  わたしのつぶやきを合図にしたように、ラジコンカーがピクリと反応した。  そして、一気に走りだし、わたしのほうへ向かってくる。  慌ててわたしは抱えこんでいたカバンを放りだすと横へ転がった。  前後に並んだ机と回転椅子のあいだへ身を滑りこませる。  ラジコンカーは、障害のなくなった通路を勢いよく走り過ぎ、教室の一番後ろの壁にぶつかる直前にピタリと止まった。  ゆっくりとタイヤが方向を変え、ラジコンカーはそろりとバックする。  まるで、本当に人が乗っているかのように繊細な動きで向きを変えると、ラジコンカーはヘッドライトでわたしを照らしだした。  うそ?  こっちを狙ってくる気だ!  突進してくるラジコンカーにぶつかる直前、どうにかわたしは、ぐらぐらと回る椅子の上へとよじ登る。  足を引きあげた瞬間に、ラジコンカーはつま先をかすって通り過ぎた。
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