第3章 どうやら歓迎されていないようです

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 通り過ぎたラジコンカーが、また向きを変え、わたしのほうを狙い定める。  けれど、さすがに椅子を登る機能はついていないようだ。  いつでも突っ込めるぞという威圧感をみなぎらせ、ラジコンカーは沈黙している。  そのあいだに、わたしは必死で、この状況から逃れる手を考えた。  なにかない?  なにかないの?   無意識に、どのくらいの時間がたったのだろうと、腕時計に目を走らせる。  けれど、時計の針は、相変わらず止まったままだ。   そのとき、わたしは腕に、もうひとつの腕時計型通信機をはめていることに気がついた。  そうだ、これがあったじゃない!  迷うことなく、透流さんから教えられた通りに横についたボタンを押しながら、わたしは通信機へ向かって叫んだ。 「助けて! 凪先輩ぃ!」  これで、凪先輩の持っている受信機に、わたしの叫び声が届いたはず。  きっと凪先輩は、表示されている場所を確認して、助けに来てくれるに違いない。  そう考えたわたしは、ちょっとパニックから立ち直ったと思った瞬間。  開け放していた教室の入り口から、白っぽい影がひとつ、ふわりと入りこんできた。
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