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わたしはおもむろに、揺れる回転椅子の上で仁王立った。
反応したようにラジコンヘリが、ゆらりと機体を揺らす。
ヘリを睨みつけながら、わたしは目の前にあったパソコンのデスクトップを持ち上げた。
どっしりとしたブラウン管の背面に、ぞろりと配線がくっついているが、そんなこと構うものか。
わたしはコントロールがいいわけじゃない。
ふたつ同時にヘリへ投げつけてやるつもりで、後ろの席にあったデスクトップも、もう片方の手で軽々と持ち上げる。
たぶん、どちらかは当たるだろう。
ネコに追いつめられたネズミの反撃、思い知れ!
わたしが狙いを定めて、頭の両横でふたつのデスクトップを高く持ちあげたとき。
「待て! どれだけの損害をだす気だ!」
焦るような声をあげた凪先輩が飛びこんできた。
わたしは、デスクトップを頭上で構えたまま、半眼で凪先輩を睨みつけて叫ぶ。
「だってぇ! いきなり襲ってくるんですよ? か弱い乙女としては、当然の抵抗じゃないですかぁ?」
「どこがか弱い乙女だって?」
「それに! 集団で新入生をいじめるなんて反則ですよぉ!」
「集団?」
眉をひそめた凪先輩は、床上のラジコンカーや飛んでいるヘリを一瞥したあと、点滅を繰り返しているデスクトップ画面へ視線を移して、ため息をついた。
低い声で短く言い放つ。
「やめろ。もういいだろう?」
凪先輩の声とともに、パソコンの画面が一斉に消えた。
ラジコンヘリが、一番近くのデスクトップの上にふわりと着地して、そのまま動かなくなる。
そして、一瞬ちかちかと点滅したあと、教室内の電気がついた。
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