第3章 どうやら歓迎されていないようです

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 昼休みを告げるチャイムが鳴り、担当教師の姿が見えなくなった瞬間に、わたしと晴香は伸びをした。  そしてふたり、目が合って笑いあう。 「終わったね、午前中の授業」 「お弁当、食べようか」  高校一年は女子も育ちざかり。  いそいそとカバンからお弁当箱を取りだし、わたしは隣の晴香の机の前へとまわると、主がいなくなった級友の椅子を拝借した。 「それにしても、桂ちゃん」  晴香は、機嫌良くお箸を動かしながら、探るように声をひそめるようにきいてきた。 「邪魔をする気はないけれど。週末の試験に向けて、生徒会長から勉強を教えてもらっているんでしょう? どんな感じ?」  まさに口に入れたご飯が喉に引っかかりそうになり、わたしは目を白黒させた。 「ああ、ごめんごめん」 「――どんな感じって、なにが?」  晴香の謝罪の声をききながら、どうにか飲みこんだわたしは、すっとぼけるようにきき返した。
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