第3章 どうやら歓迎されていないようです

13/31
前へ
/249ページ
次へ
「週末の試験って、なにをするの? 教えてくれるときの生徒会長って、どんな感じ?」  晴香は好奇心の光を眼に宿して、少し具体的に繰り返した。  まったくの嘘は苦手だ。  わたしは、しどろもどろに返事をする。 「試験は……。えっと、四月の実力考査の再試験、って感じかな?」 「ふーん」  晴香の瞳は、その次の答えが重要と告げている。  なので、クラスメイトの羨望と非難の眼差しを避けるために、本当に嫌そうに答えた。 「面白いことなんて全然ないよ。一方的に馬鹿にされている感じ」 「桂ちゃん、追試を受けなきゃいけないほどに、おバカだものね」  本当に馬鹿にしたわけではない洒落を含んだ同情の言葉に、わざとそう思わせる言い方をしたわたしは、当然なにも言い返せない。  それでいいって言えば、いいんだけれど。  わたしは大きくため息をついて、お弁当に集中することにした。  急いでいるには理由がある。  わたしは食べ終わったあと、この昼休みのあいだに行きたいところがあったから。
/249ページ

最初のコメントを投稿しよう!

86人が本棚に入れています
本棚に追加