第3章 どうやら歓迎されていないようです

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 お弁当を食べ終わったわたしは、どきどきしながら、ひとりで階段をおりる。  校舎の階段をおりるだけのことが、別に不安なわけではない。  一年生の教室がある校舎四階から、二年生の教室が並ぶ三階へ向かっているということが、わたしを緊張させているのだ。  制服のブレザーのポケット部分につけている校章が、一年を表す学年色のグリーン。  なんとなく隠すようにうつむいて、わたしは二年生の教室が並んでいる廊下を歩いた。  目指すは二年三組。  凪先輩の言葉の端々から仕入れた情報で、留城也先輩のクラスを特定してやってきたのだ。  とはいっても、やっぱり上級生の教室をのぞくのも勇気がいるもので。  教室のドアのほうへ視線を向けながら、前の廊下を行ったり来たりウロウロしているあいだに、時間がどんどん経っていく。  こりゃ、この昼休みでは無理だと判断したわたしは、一度、自分の教室へ戻ろうと考えて、身体ごと大きく振り返った。  そのとたんに、誰かとぶつかってしまった。
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