第3章 どうやら歓迎されていないようです

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 たしかに一瞬、恰好良さに目を奪われた。  でも、恰好良ければ誰でもいいってわけじゃない。  ましてや出会ったばかりで、どんな性格なのかがわからない。  ただ、間違いなく、女の子に対しては軽そうだ。  わたしは、頬が紅潮するのを押さえられないまま、それでもはっきりと口にした。 「いまはまだ彼氏の募集をしていませんので、けっこうです!」  思いもよらない言葉を聞いたと言わんばかりに、彼は驚いた表情を浮かべる。  けれど、すぐに笑顔になった。 「いいねぇ、その強気な態度。落としがいがあるって気にさせるなぁ」  へこむ顔をするかと思ったら、意外と神経が図太そうだ。  もう少し強気で断りの言葉を言おうと、わたしが口を開きかけたとき。  素早く耳もとへ顔を寄せ、ゆっくりと焦らすようにささやいた。 「――電波くんのこと、知りたい? きみ、なんだか思いつめた顔をしていたじゃないか。彼の個人情報を流してあげるよ。いまはもう時間がないから、放課後に図書室へおいでよ」 「え? 放課後って……」  実技試験が入っている放課後は、学校側から全校生徒へすみやかな帰宅命令が出ている。  聞き返したわたしの言葉に、彼は、そのことを思いだしたように、あっというような表情を見せた。  けれど、すぐに口もとへ微笑みを浮かべる。 「より好都合じゃない? 他人に話を聞かれなくてさ。それじゃあ待っているから」 「わたしは行くなんて言ってません!」  すぐに、そう返事をしたけれど。  彼は、自信たっぷりの表情ではっきりと言い切った。 「きみは来るよ。だって、彼のことを知りたいんだろう?」  ――なぜ、そう言い切れるんだろう。  絶対に行く気はないために、わたしは、振り返って手を振る彼へ向かって舌をだしてやった。
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