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「こら! 上級生のいる階で、なに馬鹿なことをしているんだ?」
後ろから頭を小突かれた。
顔をしかめて両手で頭を押さえながら振り向くと、呆れた表情を浮かべた凪先輩が、右手を握りしめて立っていた。
「朝に、うっかりきみへ留城也のクラスを教えてしまったから、まさかと思って確認しにきたんだ。もしや、彼のところへ行っていないだろうな?」
そのまさかです、なんてことが言えないわたしは、曖昧な笑顔を向けてごまかそうとした。
けれど、見透かされたように思いっきり睨まれる。
そのうえ、新たに釘を刺された。
「きみは、目を離すとなにをしでかすかわかったものではないな。今日も放課後は、まっすぐに生徒会室へ来い。今週はぼくの監視下にいてもらう」
そう告げると、さっさと三年の教室が並ぶ下の階へと、階段をおりていく。
なによ、その態度。
なんでも言うことを聞くと思ったら、大間違いよ。
凪先輩への反発心を理由に、わたしはもう、放課後は図書室へ行く気になっていた。
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