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やっちゃった。
悲鳴こそあげなかったけれど、醜態見せまくりだ。
「まったく。だから単独行動をとるなと言ったのに」
「凪先輩は、そんなこと言いませんでした!」
「ぼくの監視下にいろと言っただろう? 同じ意味だ」
じろりと睨みながら、逆切れ気味のわたしへ向かって言い放つと、凪先輩は図書室の奥へと顔をあげた。
「そこにいるんだろう? 出てくるんだ!」
凪先輩の声に、奥から人影があらわれた。
頭を掻きながら笑顔を浮かべて姿を見せたのは、昼休みにわたしを呼びだした彼、その人だった。
呆気にとられて見つめるわたしのそばまで来ると、彼は、ヘリウムガスが抜けきらない声をだす。
「ごめんごめん。怖がらせるつもりはなかったんだけれど、あ、オレって昼休みのときに名乗っていなかったよね。左部紘一っていうんだ。これからもよろしく、桂ちゃん」
流れるように軽く告げると、わたしの前へ回りこんでしゃがみこむ。
そのまま両手をとって、笑顔でぶんぶんと握手をしてきた。
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