第3章 どうやら歓迎されていないようです

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「凪先輩が卒業したあと、この高校の新入生に候補者があらわれた場合、立会人となるのはオレか留城也になるじゃないですか。だからオレは、凪先輩のやり方をいまから見学しているんですよ。それに、実技試験中に受験者側からメンバーの能力的手助けを申請されたときには、参加OKですよね。試験がはじまる前に顔見せしておくべきですよ」  用意していたかのような紘一先輩の言葉に、わたしが反応した。 「試験中に、メンバーの方から助けてもらうことができるんですか?」 「そうなんだよ」  紘一先輩がわたしのほうへ大げさに振り返り、勝ち誇ったように言葉を続ける。 「だから、オレの存在も能力も知っておくべきだと思わない? 桂ちゃん」   そして、紘一先輩は、凪先輩とはまた雰囲気の違う、見惚れるような満面の笑みを浮かべた。  もともと整った顔立ちのために、構えていても目を奪われる。 「オレの能力は『サトリ』なんだ。相手の頭に浮かぶ言葉を読み取る能力なんだよ」
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