第3章 どうやら歓迎されていないようです

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「――きみから見て、紘一はどんな人物に映っている?」  そのまま図書室へ残っていても仕方がないため、戸締りをした凪先輩とともに生徒会室へと向かう。  その途中で、凪先輩は前を見据えながら、ささやくように訊いてきた。 「――そうですね。人の心が読める能力だなんて、びっくりです」  正直に、まず最初に思ったことを口にする。 「それから、やることは突拍子もなかったですけど、親切そうで、性格も良さそうですよね。あと女の子に甘い感じがします。話し合いの余地もない留城也先輩よりも、うまくやっていけそうな気がしますけど?」  凪先輩がわたしの言葉をとめる様子もなく黙ったままなので、続けて思いついたことを言葉に出す。  すると、凪先輩が大きくため息をついた。 「紘一は、こちらが思ったことを読める。だから、あまりきみには最初から、彼の情報を教えないほうがいいかもしれない。良い印象も悪い印象も」  含みがある言い方。  いつものような、わたしをからかうための、もったいぶった雰囲気ではない。 「そんな風に言われたら、もっと気になりますけど!」 「ああ、そうだな」  わたしは上目づかいになって不満そうに言うと、凪先輩は、そのまま黙りこんだ。
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