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第4章 いきなり試験に突入です?!
本当に行われるのかどうかもわからない実技試験だけれど、実はそろそろ、わたしの気は緩んでダレていた。
だって、いつまで経ってもはじまらないじゃない?
校長先生から話を聞かされた月曜日から丸二日、授業中も気を張っていたのに、ついにわたしは油断をしてしまった。
「木下さん」
うっかり黒板から視線を外していたときに、名前を呼ばれた。
慌てて前を向いたけれど、もう遅い。
一時間目の数Ⅰの担当である宮城先生が、口もとに笑みを浮かべながらも、眼鏡の奥から鋭くわたしを睨みつけていた。
「五月も半ばだもの、そろそろ気が緩む季節かしらねぇ?」
スタイルの良い長身で、かなり身体のラインが出る服装を好んでいる。
もちろん男子生徒の視線を釘づけにするけれど、いかにも厳しそうな空気をまとった先生で、差し棒をこれ見よがしに手に持って、威嚇するようにピシピシと黒板を叩く。
ドラマに出てくるような迫力のある女教師、そのままだ。
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