第4章 いきなり試験に突入です?!

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 一時間目と二時間目のあいだの休み時間、心配顔の晴香に見送られたわたしは、ひとりで一年の教室が並ぶ階の端にある自習室へと向かった。  自習室へ呼ばれるからには、筆記用具くらいは必要だろう。  手ぶらで行って、やる気なしに思われたら大変だ。  筆記用具を持ったわたしは足取り重く、二時間目がはじまる直前に、自習室のドアをゆっくりと開ける。  とたんに、鋭い声を浴びせられた。 「教師よりも遅れてくるなんて、まずしつけがなっていないわね」  黒板前の教壇で仁王立った宮城先生が、腕を組んで睨みつけていた。  わたしは恐怖で竦みあがり、教室へ一歩も入ることができなくなる。  どうすれば良いのかわからず固まったわたしへ、そのとき、救いの声がかけられた。 「なにをしている? 桂、さっさと教室へ入って席につけ」  声のしたほうを見ると、渋い表情の凪先輩が、教室の一番後ろの席に座っていた。 「なんで? え? まさか凪先輩も素行が悪くて呼びだされたとか」 「馬鹿者! さっさと席につけ!」  わたしに向かって眉をひそめた凪先輩が、低く命令する。  思わず、凪先輩へ失礼な言葉を口にしたけれど。  品行方正成績優秀である生徒会長の凪先輩が、そんなことで呼びだされるはずがない。  まさか。
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