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解けるわけがない数学のテスト用紙を前にして。
わたしは、うるさいくらいに心臓の鼓動が高まり、このまま意識が遠のくような気までしてくる。
つい助けを求めるように、わたしは後ろの席で見守っている凪先輩のほうへと振りむいた。
受験者の要望があれば、メンバーの手助けを要請できるんだったよね。
なにか、この窮地を脱出できる手がかりをもらえないのだろうか。
わたしの視線の意味を理解したように、凪先輩は見返してきた。
けれど。
「悪いが、今回は自分で対処すべき内容だ。こちらからサポートできない」
にべもなく凪先輩は無表情で口にする。
すると、すかさず宮城先生がわたしへ向かって言った。
「すぐに他人に頼ろうとするのをやめなさい。それに試験中はよそ見をしない。減点にするわよ。もっとも、まず引ける点数をとることができるのかしらねぇ」
嘲笑うような響きを含んだ先生の声に、わたしは恥ずかしさで顔が紅潮した。
答案用紙の前で、シャーペンを握りしめたまま動けない。
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