第4章 いきなり試験に突入です?!

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 次は問題を解かなきゃ。  数学だから、計算式でも文章問題でもしっかり読めば、ひらめきで解けるところがあるかもしれない。  そう考えて、プリントへと視線を移す。  けれど、習っていない公式は思いだしようもない。  うつむいたまま、じっとプリントを凝視するしかないわたしの上から、先生が威圧的に見下ろしている視線が痛いほど感じられた。 「十五分経過。あらあら、全然書けていないじゃないの。試験監督としては暇だわぁ」  呆れたような声を投げつけられる。 「あなたの気を落ち着かせるために、ああいう風に彼は言ったけれど。制限時間なしって、どういうことかわかるかしら? 今回の試験は、あなたが全問題を記入し終わらなきゃ、何時間でもこのままってことなのよ。まったく困ったことだわぁ。私、放課後は逃したくないイケメンとのデートが入っているのにぃ。本当迷惑!」  じりじりと時間だけが過ぎていく。  先生は、チクチクとした言葉を投げかけてきて、徐々にわたしの精神を削いでいく。
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