第3章 どうやら歓迎されていないようです

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第3章 どうやら歓迎されていないようです

 一時間目がはじまるまで、あまり時間はなかった。  けれど、凪先輩の説明では実技試験が行われるこの一週間のあいだ、たしか遅刻早退が免除だったはず。  だったら、朝一番の呼び出しもあり得るってことになる。  それに、実技検査のときは凪先輩のほうへ連絡が入ると言っていたから、わたしから凪先輩へ知らせる必要はないはずだ。  きっと向こうで待ち合わせになる。  そう考えたわたしは、教室とは別の棟になるコンピューター室へとひとりで向かった。  コンピューター室は、情報処理科が使用している教室だ。  わたしは、情報処理の授業を受けていないために、場所は知っていたけれど、利用をしたことがない。  教室の前につくと、ドアには鍵がかかっていなかった。  耳を澄まして中から物音がしないことを確認してから、わたしはおそるおそるドアを開き、中をのぞきこむ。  コンピューター室には、一クラス四十人に充分行き渡る数の、どっしりとしたデスクトップコンピューターが整然と並んでいた。  一時間目の授業が入っていないらしく、誰の姿もない。
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