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ナオミは無難な黒の毛糸を選び、熱心にマフラーを編んだ。マフラーを編んでいる間、ユウヤと付き合ったら、どんな日常が始まるだろうかと想像を楽しむだけで身体が熱くなった。勉強も手につかない状態で期末テストは過去最悪の成績だった。
ナオミは出来上がったマフラーを100均で買った紙袋に入れ、メッセージカードも同封した。
『よろしければ通学時にご使用いただけると幸いです ナオミ』
それ以上の言葉は書けなかった。
妹はその紙袋をノブヤに手渡した。次の日、その次の日、ナオミはユウヤがいつ自分の編んだマフラーを首に巻いて来てくれるだろうかと、早めに駅に行き彼の到着を待った。だが、何日経っても彼はナオミの手編みのマフラーを首に巻いて来ることはなかった。
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