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12月24日クリスマスイブの日が終業式だった。その日の朝も、彼はマフラーをしていなかった。
ナオミは暗い気持ちになった。妹とノブヤのやり取りが、どこまで真実なのか確かめもせず、マフラーをプレゼントした自分の浅はかさを後悔し始めていた。自分に腹が立つと同時に、熱心に彼を思い詰めながらマフラーを編んだ時間を思い出すと訳もなく涙があふれた。
電車を降りてトボトボと歩くナオミの肩をトントンと叩く人がいる。振り向くと、まったく知らない男子学生がナオミの編んだマフラーを首に巻き、不安そうに声をかけてきた。
「ナオミさんですよね? マフラーありがとう。」
「えっ?! あ・・・ユウヤさんですか?」
「はい。高橋ユウヤです。」
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