Go Lady Go

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 菜津美はため息をつきながら、今日何度目かの寝返りを重たげに打った。  枕元の壁越しに聞こえるドスンゴトンという物音。隣人の山村家の双子達だろう。既に夜中の12時を回っているのに。  先日、双子の男児は小学校6年生になったと聞いた。  どうりで、隣の騒音が年々菜津美の悩みのタネになるはずだ。男の子はただでさえ元気なのに、それが2人もいて、もう可愛らしい年齢でもないのだから。  隣のベッドで眠る夫をチラリと横目で見れば、そんな菜津美の憂いなど露知らずといった様子で大口を開けて眠っている。  同じベッドの中の娘もスヤスヤと眠っているようだが、こちらは寝相が悪く、狭いベッドを縦横無尽に動き回るものだからそれがまた菜津美の眠りを妨げる。  この家の中で菜津美だけがこんなにも不穏な夜を過ごしていることに苛立ちを覚えながら、何とか眠りにつこうと固く目を閉じる。  すると、まるでそれを狙ったかのように、隣の壁からことさらに大きな物音がして、菜津美は沸き上がる怒りを押し殺そうと掛け布団を頭から思いきりかぶった。
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