780人が本棚に入れています
本棚に追加
バスルームへと入り、服を脱ぐ。
なんとなく。
脱ぎ捨てたままでは、居た堪れない様な気がして、きちんと畳んで置いた。
浴室へと足を踏み入れる。
自分の部屋にある浴室よりも、軽く倍近くは広い空間。
部屋と同じく白と黒で統一された、お洒落なバスルーム。
置かれている、シャンプーやボディソープ等は全て【ark】の物で統一されている。
あの人らしい拘りが垣間見えて、自然と笑みが零れた。
目の前にあるシャワーのコンクを捻り、少し熱めのお湯を全身に浴びる。
少し熱めのシャワーを浴び、一通りの事を済ませ。
白い大きな浴槽に、ゆっくりと身体を沈める。
九条先輩は入浴剤を入れる派なのかと。
浴槽に溜まった、お湯から香る心地よい香りに癒されながら、そんなことを思った。
普段。
俺も春も、入浴剤は入れないので。
なんとなく新鮮に感じる。
たまには入れてみるのもいいかもしれないと。
そんな事を思案しながら、ゆっくりと。
広い浴槽と、心地よい香りを楽しむ。
今日は色々と。
考えさせられた。
自分の今までの軽薄な行動を、心の底から悔やんだのは今日が初めての事かもしれない。
性行為は、した事が無くても。
誰彼構わず付き合ってきたのだから、軽薄な事には代わりがないと。
そう、深く反省する。
…佐藤の事も。
もう少し。
考えて行動をしていたら。
こんな事には、ならなかったのかもしれないと。
自分を責めずには、いられなかった。
「…そろそろ出るか」
そう、独り言を呟き。
広い浴室から出て、タオルで身体を拭く。
髪も。
水滴が滴らない程度にタオルドライをして。
後は、少し時間が経てば直ぐに乾いてしまうだろうと。
…そう言えば。
急に泊まる事になったので部屋着が無いことに気が付いた。
また、制服を着るのも何だか憚られる。
暫し逡巡した末に。
九条先輩に、何か借りようという結論に至り。
全裸で出ていくのも何だか申し訳ないので。
取り敢えず。
腰にタオルを1枚巻いてバスルームを後にした。
最初のコメントを投稿しよう!