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「りっちゃん、夕飯どうする?」
リビングのソファーに腰を掛け、先ほど淹れたカフェオレを飲んでいると、不意に春にそう尋ねられる。
春に尋ねられ、ふと壁にかかっている時計を見れば針は6時半を指していた。
今日の授業が終わってすぐ佐藤に呼び出され、指定された場所に行ってから、もう2時間近く経つのか。
俺は、カフェオレを堪能しつつぼんやりとそう思った。
「春は?」
そう尋ねれば春は先ほどとは打って変わってニコニコと嬉しそうにしている。
春は、気持ちの切り替えが上手い。
俺は、一度沈むとどこまでも思考が急降下してしまうタイプなので、春のそういう部分はとても羨ましく思う。
「俺は、れんれんとなっちゃんと食堂に行く約束してる!りっちゃんも一緒に行こうよ」
春がいう、れんれんというのは、俺の双子の片割れの蓮のことで。
なっちゃんというのは、蓮の同室者であり、俺も親しくしている那智のことで。
春からのお誘いに、断る理由もないので頷く。
すると、春はとても嬉しそうに笑った。
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