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「りっちゃん!早く起きないと遅刻するよ!」
朝だ。
寝起きの悪い俺は、いつも春に起こされる。
早く準備をしないと遅刻するという事は頭の中では分かっていても中々行動には移せない。
そんな俺を見て、春は溜め息を吐く。
「もう。俺、先に行くからね!」
春は、そう言って俺の返事を聞く前に早々と部屋を出ていってしまった。
俺の寝起きが悪いのは毎朝の事なので、春ももう分かりきっている事なのだろう。
もぞもぞと身体を動かし、枕元にある携帯の時計を確認すれば、もう時間は8時を過ぎていて。
この際だから、ゆっくり行こうと。
あっさりと遅刻を決め込む。
こういう潔さもたまには必要な事だろうと自分に言い訳をしながら、ベッドから這い出る。
自室のカーテンを開けると、朝の光が眩しくて自然と目を細める。
やっと頭が冴えてきたような気がする。
背伸びをしつつ、取り敢えず部屋着のジャージから制服に着替えることにして、学校へ行くための準備へと取り掛かった。
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