770人が本棚に入れています
本棚に追加
/137ページ
朝は、食欲が湧かない。
なのでいつもカフェオレだけを飲む。
カフェオレが大好きな俺は、それだけで満たされるのだ。
朝は、いつもより心なしか甘めのカフェオレ。
それを飲んでいれば、次第に頭もはっきりと冴えてくる。
カフェオレを飲み終わり、食器をきちんと片してから部屋を後にした。
どうせ遅刻するならば、と。
少し遠回りだが、先日通った桜並木の道を通っていく事にした。
相変わらず桜は満開でとても綺麗だ。
ひらひらと薄桃色の花弁が舞い散る様は、いつ見ても感慨深いものがある。
なんとなく舞い落ちていく花弁を目で追いながら、ゆっくりと歩みを進める。
道中、この間の桜の木の下を通りすぎたが、あの人は居なかった。
…当たり前か。
時刻は、もう9時を過ぎている。
あの人が遅刻等するはずがない。
いつの間にか。
あの人がいることを、多少なりとも期待していたのだろうか。
そんな思考が頭を過ったが、そんなことはないと自分に言い聞かせ、先程よりも幾分か速い足取りで校舎へと足を運んだ。
最初のコメントを投稿しよう!