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校内へと足を踏み入れれば、授業中のせいか、とても静まり返っている。
静寂な時間は、とても安らぐ。
安らぐと同時に、何故か寂しさのようなものが押し寄せてくるような気がする。
ただの思い込みかもしれないけれど、。
ゆっくりとした足取りで教室を目指す。
廊下から見える空の色は、とても綺麗な青色で。
昼寝日和だなと思った。
感じてしまったが、最後。
とは正にこの事で。
どうせ遅刻したならばと、教室に向かう歩みを止めて。
先程登ってきた階段を登り、屋上へと足を踏み入れる。
屋上へ足を踏み入れ、まず初めに目に飛び込んできたのは、この時間にここにいる筈のない人物で。
桜並木の下で、佇んでいた彼。
それでいて、予想もしなかったオプション付きだ。
まさか彼が授業をサボり、屋上で煙草を燻らせているとは。
ふ、と。
俺がその場で立ち尽くしていると、彼がゆっくりとした足取りで此方に歩み寄ってくる。
綺麗に染め上げられた、明るめのハニーブラウンの髪色と同じ色の幾分か垂れ目の瞳が太陽の光に反射して、キラキラと輝きを放っている。
見てはいけないような物を見てしまったような。
それでいて、なんとなく気持ちが昂ぶっていくような。
なんとも居たたまれない一瞬。
慌てて下を向くと、視界には俺のローファーと俺より少し大きめの黒いローファー。
「凛ちゃん。こんな所で会うとは。しかも、嫌な場面見られちゃったな」
彼は、そう言って苦笑いを溢した。
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