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とある洞窟。
ここは『盗賊』のアジト。
盗賊たちは、宴の後なのだろうか。
足元に酒瓶や食いかすが散乱している。
大柄な男たちは無防備に眠っている。
いや、違う。
何故か白目を剥いて失神している。
「やれやれ……」
洞窟の奥からロープでぐるぐる巻きにされた男を担いで小柄な人物が現れた。
小柄な人物は、護身用なのか腰に短剣をつけ草色のキャスケットを深く被っている。
エメラルドグリーンの大きな瞳が印象的である。
「ん?」
たまたま洞窟の前を通りかかった腰に長剣を付けた背の高い青年剣士の前を小柄な人物は通過する。
そして、男性か女性かわからない中性的な人物は男を担いだまま町中へと消えて行った。
「いやはや。
物騒だね~」
青年剣士は興味津々。
サラサラの黒髪をかきあげ、切れ長のダークブルーの瞳を細め青年剣士はニヤリと笑った。
青年は男を担いだ人物の後を追った。
どうやら気に入ってしまったようだ。
こうしてひょんな事から出逢った二人。
これが運命(さだめ)である事にまだ二人は気づいていなかった。
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