微熱

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微熱

 俺が服を捨てるように脱ぐとリンは丁寧に畳もうとする。お母さんか!そういうのがキモい。 「んな事、後でいいからテメーも早く脱げよ」 「うん、ごめんね」  女みてぇな喋り方なくせにゴツい体をしてやがる。肩幅がえぐいわ。 「りょうちゃんキスしていい?」  確認なんてしなくていいのに。 「しろよ」 「すきぃー!ずっと我慢してたんだ」   そう口走ったかと思うと途端に体を寝かされた。  いつもおあずけ喰らわせられていたリンは一度、着火すると酷かった。  唇だけじゃなく、瞼や、鼻、頬に唇をはわせる。唾液で顔がベチャベチャになった。 「きたねー!やめろって!」  俺の声なんか全く聞こえていない。  まるで、尻尾を振った、大型犬に襲われているみたいだ。 「好き、かわいい。かわいい。いい匂い」  耳たぶごと口に含まれた。 「おい、それやめっっろ!」  耳の穴の中にも舌が入り込んでいく。  長い触手に侵食されていくようだ。 「やめっろって」    そう言っているのに、耳を捕らわれているせいで自分の声もよく聞こえない。  ジュルジュルいやらしい音だけ耳を占領する。 「キモい!キモい!」   そう叫んだ。  その唇を塞がれた。  呼吸ができない。  顔をそむけて呼吸する。リンが、追いかけてくる。 「好き、大好き、りょうちゃん!逃げないで」  「好き好きっっるせー、ガツガツすんな!」  リンがあんまり嬉しがるから、スゲー悪い事してる気になる。  俺はこいつの事が好きじゃない。本当にどっこも好きじゃない。  「あっ!」  リンが乳首に触れた。  片方を指の腹で転がされもう片方は舌先で突付かれた。執拗にねちっこく触れられる。 「んっっ」 「ずっとここ、触りたかった」  「んっっおまぇ、やっぱヘッンタイ」 「だってお風呂上がりにりょうちゃん、見せつけてくるんだもん」   見せつけてねーから。お前がいやらしく見てやがったんだろ。  声を押し殺しているものの、苦しい喘ぎを押さえられない。 「もうっリンってば手加減しろよ!」  腕で抵抗したけど、軽く払われてしまった。  緩く腕を拘束される。完全に力じゃ敵わない。 「ほら、触ってないのにおチンチン大きくなってきたよ」  いちいち口に出すなよ!    両足を折り曲げられ穴が剥き出しに晒された。 「やめろって!」   屈辱的な恰好をとらされ、抵抗する。  リンはいつもは緩いくせに強引で、許してくれない。 「綺麗だね、りょうちゃんのアナル」 「キモっ!そういう単語を使うな!警察に捕まるぞ!!」 「綺麗な人は穴も綺麗なんだね」  そこに唾液を垂らされ舌が入ってくる。舐められ解され拡げられる。乾いた指の感触が柔らかい肉穴にあてがわれるのを感じた。 「ヒクヒクしてるよ。ピンクの穴に指が勝手に入っていくよ」 「あぁっっ言うなぁ!そんなことぉ」  気持ち悪いリンの言葉がなぜか淫靡に響いた。  リンは手で俺のペニスを扱きながら、陰嚢を口に含み、肛門に指を入れて中に刺激を加える。 「おっお前、どっこっぉでそんな事?」  どんな男からもされた事のない愛撫だった。全部良くて理性を放棄しそうになる。 「もっっう、それっっ何だょっっ!!やめっろ!」  左右の手が違う動きなのにリンは器用に動かしている。 「んっっやだぁ…やめろよぉ」 「絶対、やめなぁい」   クソっ!完全に主導権奪われた!  リンを相手にこんなに蕩けさせられるなんて思いもしなかった。 「りょうちゃん、トロトロだよ。もう入れていい?」 「言わなくていい!聞かなくていい!」   リンは自分の亀頭を俺の肛門にグリグリ押し付けながらじわじわ中に入ってきた。  散々ほぐしたのにリンのがデカいから馴染むのに時間がかかる。 「ンッ、クッお前のデカい」 「きつい?」   リンは最奥まで入れてから止めた。 「そんな意味じゃない。ゆっくり動けよ」 「夢みたい。もう、死んでもいい」  そう言ってリンは慎重にピストンを始めた。 「んぁっんっっ」  奥を突かれる度、声がこぼれる。  この手の嬌声はウリやってる時よく使った。昇りつめていく演技。相手を早くイカせたいからしていた演技だ。リンにはそんな事する必要がないのに自然に漏れる。  内臓が抉られるみたいで苦しい。  だけど苦しいだけじゃない。  僅かに核に伝わる響きがある。  リンのモノがその近くを行ったり来たりする。 「もっと、うえっも擦って」  リンは角度を変え上を擦る。 「こう?りょうちゃん」 「‼ひぁっっ」  思っていたよりあっけなくリンがその核の場所を特定した。 「ここがいいの?」  リンが的確な角度で攻めてくる。 「そこ、そこがいい」   リンは大きな体で俺の頭ごとすっぽり包み、体が上に逃げられないようにして打ちこんできた。リンに必死にしがみつく。力が核にダイレクトに伝わる。  リンの動きで下腹の茎が擦れて張りつめていく。もう限界まであと少ししかない。      苦しく喘ぎながら近づく絶頂を待って全身に力が入る。   「イキたいっっ、イキたいよぉ!」 「イカせてぇっっ!!あっイクッー」  淫乱極まりない咆哮をあげた。  容赦ないオルガズムが押し寄せる。  呼吸を止めて受け止める。  数秒間の、収縮が全身を硬直させる。  そして不随意な収縮の波がゆっくり引いていく。  余韻を残しながらリンの動きは続いている。甘くて気怠い絶頂が緩やかに引き伸ばされる。   じっとりかいた汗が気化熱に変わりひんやりする。    荒い呼吸をしながら、体の緊張を解いていく。  オルガズムの後は決まって切なくなる。  リンなんか好きじゃないのにキスしてほしい。 「っっキスしてぇ」  リンが反応する前に俺が先にリンの口唇に吸い付いた。  リンにだったらこんなはしたない姿を見られても構わない。  今だけ正気を失っていたい。    舌が侵入して口腔ごと一方的に犯される。無遠慮に流れこむ唾液を喉で受け止める。  こうやって理性を失った雄に激しく求められる感覚があの微熱を溶かしていく気がした。  リンはゆっくり抜いて俺の腹に静かに射精した。 「二人分、混ざっちゃったね」  腹の上に自分の出した物も飛んでいた。  リンは風呂に湯を溜め、湯船に放心した俺を抱えて連れて行き浸した。  あちこち硬直した筋肉をリンが摩る。   リンが、バスタブの中ですげぇ力で抱きしめてられた。湯が激しく波打った。 「うぇっ!苦しい!鯖折りすんなよ」 「りょうちゃん、とっても綺麗だった…」     夜が更けて、二人で眠った。  リンが後ろから大きな体で包んでくる。  少し厚かましいと言ってやりたかったが言わなかった。  その眠りはとても心地よかった。  
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