キモい同居人

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キモい同居人

 俺は、自分が嫌いだ。  顔が悪い。身長も低い。頭も悪い。性格も悪い。生まれも育ちも悪い。   俺の母親はだらしない。貧乏なくせに避妊もせず、子供を8人産んだ。全員タネ違いで全員男だ。ろくに世話もされずに育った兄弟達はやっぱりだらしなくて粗野でまともな奴はひとりもいない。   俺はその末っ子で、兄貴達から暴力を毎日のように振るわれ、顎で使われてきた。  小さい頃から家にいるのが憂鬱でたまらなかった。小学五年生の頃、兄貴達に使いパシリにされた挙げ句、理不尽な理由で殴られた。俺は、その日泣いて家を飛び出した。家には絶対に帰らないと決めて町をさまよった。その先は全く覚えていない。それから一ヶ月後、警察に保護されるまで俺は行方不明になっていた。あのだらしない母親もさすがに翌日に警察に届け、テレビでも報道された。ただ帰ってきた俺は怪我をしていた訳じゃないし、げっそり痩せていたわけでもない。色々調べられたが異常がない為、事件にもならなかった。  中学に上がった頃から、家にあんまり帰らなくなった。何かを失くしたみたいで毎日イライラした。当たりどころがなくて喧嘩ばっかりしていた。14歳で立派な不良になっていた。もう帰らなくても心配など誰もしなくなった。  性急に鍵を開ける音がする。  リンが帰ってきた。 「りょーちゃん。りょーちゃんの好きなプリン買ってきたよ!」 「んなもんいらねーよ」  ここはリンの借りてるアパートだ。  居候している身で言うのもなんだか、こいつは気持ちが悪い。生理的に受け付けない。  ソファに横になっていると体をひっつけてきた。 「今晩、何が食べたい?」  「何でもいい」 「今からデートしよーよ」  更に体を寄せてくる。すかさず身をそらす。 「いやだよ」  お前となんか。  「りょーちゃん、今日もかわいいね。綺麗でかわいい。大好き」   はぁ。始まった。ため息しかでない。  リンはいつも、こう言って好きだのかわいいだの綺麗だの言って俺をうんざりさせる。  俺の一体どの辺が綺麗でかわいいんだろう?くせ毛だし、目は小さいし、だんご鼻だし、下膨れだしおまけにチビだし。ガリガリだし。スゲー不細工だ。B専かよ。  こいつの審美眼はどうなってんだ?  リンは見た目は悪くないと思う。背はデカイし顔も整っていると思う。なのに、なんでなんだろう。とてつもなく気持ち悪い。人間見た目だけじゃないと言うけどこいつを見てると本当だと思う。見た目の良さも消し飛ぶ気持ち悪さだ。   言っとくがセックスはしてない。リンとセックスなんてそれだけは絶対に嫌だ。  リンは看護師をしていて、今日は夜勤明けで帰ってきた。 「出かけないなら、してあげよっか?」  リンは俺のズボンの中に手を入れてきた。  夜勤明けでよくやるわ。性欲モンスターめ。 「かわいい、もう硬くなってる。僕にさわられたかったの?ペロペロして気持ちよくしてあげるね」   こいつは俺ではなく俺のチンコに話しかけているのだ。ヤベー奴。マジで引くわ。  リンは卑猥な音をたてながら美味そうにしゃぶりはじめた。  認めたくないけど、こいつはフェラか上手い。こいつの事なんか、嫌いだし気持ち悪いと思っているのに、フェラされると抵抗できなくなる。 「うふふ、かわいー反応はやぁい、きもちいいでしょ?」   ムカつく!  でも今やめられたくない。 「いっいいよ」  袋を手で揉んだり舐めたりしながら棒をゴリゴリ上下に扱きあげる。  リンは俺が何をされると弱いかを熟知している。 「カウパー今日多いねぇ、おいひーよぉ」  唾液まみれのチンコ咥えて喋んじゃねーよ。  とことん頭のネジの緩んだ奴だ。 「出していいよ、りょーちゃん、いきそうでしょ?」  出そう。ヤバいから。はやくっ。 「口離せよ」  上下運動が激しく加速する。 「僕にりょーちゃんのおちんぽミルク飲ませてぇ」  はっ!うぇっ…そのセリフ、キモっ!!  マジでキモイ。 「キモイ!お前!っっ」  ドン引きの真っ最中だが、身体は、絶頂をむかえた。 「ちょーだいっ」  ドクッドクッとリンの口の中に汚い粘液が入っていく。  俺の射精が終わると、リンは口を開けてそれを見せた。嬉しそうに躊躇なくゴックンと喉を鳴らして飲みこんだ。  狂ってる。あんなの、飲む物じゃないだろ。 「精子飲んで喜んでんじゃねーよ、ド変態が」 「おいしかったよ。ありがとうりょーちゃん」  おぇっ。マジかよ。 「りょーちゃん、気持ちかった?」 「んなこと聞くな!」   リンは、次に自分の物をズボンから取り出した。  やっぱデッカイな、コイツの。  リンは、俺の顔を見ながらオナニーを始めた。いつもコイツは俺のを抜いた後こうやって自分でシコる。やめて欲しいが、こいつのを触ってあげてないから甘んじて許している。 「りょーちゃん、かわいい、すきっ、すきでたまらないよ」  早くイケよ。  自分でしごきながらこっちを切ない瞳で見つめてくる。 「僕の事好き?」  嫌いだよ。 「うっ、まぁまぁ」  仕方なく話を合わせる  だから、早くイケって。 「嬉しい!嬉しいよりょーちゃん!もういきそうだよぉっ僕の瞳、見て」     無理っ。キモっ!オカズにしやがって。 「りょーちゃんの顔にかけちゃだめ?」 「調子にのんな!」  気持ち悪すぎて、ケリを入れた。 「それっ、好き。いじめてっ、もっとっ、好き、りょーちゃん好きだよっっっ」  リンは俺の顔を見ながらよがり狂って果てた。   救いようのないドMだぜ。  オナペットに目の前でされるのは精神的に辛い。  俺は何でこんな変態と一緒にいるんだろう? 「りょーちゃんのかわいい顔見てたら何回でもいけちゃうよ」  一度だけにしてくれ。  ティッシュで自分の出した物を拭き取っている。 「りょーちゃんは、神の作った最高傑作だよ。神々しいほど綺麗だ」   神々しいの見てオナるなよ!  だらしねー親が作った失敗作だよ。 「うるせーな。俺はお前なんか嫌いだよ」 「今度、抱かせて?」 「は?お前、人の話聞いてた?」 「うん。りょーちゃんを抱きたい。りょーちゃんが僕を抱いてもいいよ」 「死ねっ!どっちもねーよ」   リンと初めて会ったのは半年前。  俺はホモの親父とベッドで写真を撮って仲間と脅していた。家族にバラすとか言って散々金を持ってこさせた。そいつがヤクザに写真を取り返すように金を払って頼んだらしい。俺と仲間はヤクザにしこたまリンチされた。  俺は路上に捨てられて気を失って倒れていた。            両腕を複雑骨折していて、両手の爪は全部剥がされていた。顔も原型のない位腫れ上がり、前歯も二本折られた。 リンが倒れている俺を見つけて病院に連れて行き、ここに連れて帰った。世話を焼いてくれる肉親がいない俺にとって助かったのは事実だが早い話が、この変態に拉致られたのだ。 「かわいい。こんなにかわいい子、見た事ないよ。君の名前は?」  歯の折れた、腫れ上がった顔の何を見てこいつはそんな事を思ったんだろう。 「りょう」  前歯がないから空気がもれておかしな発声しかできない。 「りょーちゃん、僕はリン。よろしくね」   両腕が使えないからリンが生活の全てを変わりにした。食事を口に運ぶのも、風呂で身体を洗うのも、尻を拭くのもだ。命を握られている感覚だった。  何日か経った後、不覚にも俺は朝勃ちしてしまった。下半身に気持ちがいかないようにしていたのに。10代の若い体は、休みなく精液を製造していたのだ。リンにバレて死ぬほど恥ずかしかった。 「大丈夫。すぐ楽にしてあげるね」  リンは素早く、的確に手だけで射精に導いた。性的な行為というより、手当てをされている感覚だった。  イッた後、情けなくなって、涙が出てきた。  流れる涙も自分では拭えない。  リンがその涙を拭った。 「りょーちゃん、泣かないで、生理現象なんだから、恥ずかしくないよ。僕を使って、頼って。君の両腕になりたいんだ」   リンは、そう言って俺を慰めた。  リンに世話されるのはすぐに慣れた。慣れなければどうしようもなかった。  初めは手だけでイカされたけど、俺が慣れてくるとリンは口を使っていいかと聞いた。  それでもその頃は、性的な意味合いはなかった。それに抵抗はあったけど、口でしてもらうと手だけの時より何倍もの満足感があった。    抜いてもらった後で突然、リンが聞いた。  「りょーちゃん、キスしていい?」 「!!ダメに決まってんだろ」  リンとキスも嫌だし、自分のチンコと間接キスもしたかねーよ! 「りょーちゃんが嫌がる事はしないよ。僕はりょーちゃんの性欲処理だけで十分幸せだから」  こいつに何もかもさせて、挙げ句は性欲処理までさせてるって。俺ってクズだわ。  ただ借り返すだけだぞ! 「しろよ。舌は入れんなよ!」 「りょーちゃん!りょーちゃん好きぃ!ありがとう」  リンはそう言って、がっついて口唇に口唇を合わせた。柔らかい口唇の感触がして気持ち悪い。  気持ち悪すぎる。こんなキモい男とキスなんて拷問みてーなもんだ。  ん?あれ?   キスって何秒するの?  ん?長いよね…  まだ?苦しんだけど。 「なげーよ!」  「ごめん。終わりたくなくて」  「キモいっっ!」  キモい!キモい!キモい!  このキスからリンは俺への好意を隠さなくなった。
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