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寂しい子供
小さい頃は、母さんにかまってほしくてよく野原のシロツメクサを摘んで花冠を作ってプレゼントしたりしたな。でもすぐに枯れちゃってゴミ箱に捨てられてんの見るの切なかった。媚びて媚びまくっても、俺は、母さんが連れてくる男達にはかなわなかった。寂しくて兄貴達にかまってほしくてよくお遣いに行った。なのに兄貴達は可愛がるどころか、気に入らない事があると俺を殴って八つ当たりした。
中高生の頃はまるで自傷行為みたいな援助交際を繰り返してた。たいがいの男はリーマンで金持ってて良いやつだったからよかったんだけど、一度だけ殺されかけた。
指定されたホテルの部屋に入るといきなり顔面を殴打され頭から紙袋を被らされた。手馴れた様子で後手に縛られ服を引き裂かれた。
「このドブス!淫乱!お前みてーなブス、顔見てやると萎えるんだよ!!」
強引にペニスを突っ込まれた。
異様な精神状態が声色から伝わってくる。
「苦しめ、ブス!コラッ!ケツ閉めろ!!」
男は犯しながら何度も紙袋に入った俺の顔を殴り続けた。抵抗もできないのに殴り続けるのはただのサディストだからだろう。
殺される。
こんな所でゴミみたいに殺されたくない。
脳が揺れて意識が遠くなった。
怖い。殺さないでくれ。
男はフィニッシュ前に紙袋を破いた。鼻を摘まれた。あえぐ様に呼吸すると喉の奥にペニスを入れて男は射精した。嘔吐反射が起こり激しくむせた。
鼻血が目に入って男の顔は見えなかった。
「金、多めに置いとくよ、お兄さん」
男は、くしゃくしゃの一万円札を5枚、捨てるようにベッドに置いていった。
シャワーで顔の血と口の中の精液を流した。汚い血と精液が排水口に混ざり合って吸いこまれていく。
鼻血がとまんねぇ。
「折れたかな」
誰に言われなくても分かる。
自業自得だよ。
俺みてーなクズがこんな所で殺されたって誰も気にもとめねぇ。
だけどこれはすげー辛れーな。
それからウリはやめた。
やめたというかできなくなった。
仲間達とつるんで美人局して男達から金を奪った。
気分が良かった。
俺を貶めた男達から暴力で金を奪う。
罪悪感なんてもんは1ミリも感じなかった。
馬鹿な俺は、こんな事を繰り返した。
いつも、何かを忘れて生きてる気がする。
それが辛かった。
ヤクザにリンチされたのはその少し後だった。
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