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近くにいるのに遠い
昊洸を連れ帰って来た日から
もうすぐ一ヶ月半が経ちますが
やはり、ろくに話ていません。
彼はあの日から
私の家に居ますが
部屋は別々です。
対崎のお嬢様は
昊洸の居場所が判らす
イライラしているみたいです。
そして、
私を殺ろうと
していた計画は
深影さんの知人の方が
阻止してくださったようです。
これで私への
脅威はなくなったわけですが
昊洸は何故私と
話すらしてくれないのでしょう?
やはり、私など
どうでもよく
なってしまったのでしようか……
。.・◆・.。*†*。.・◆・.。*†*。.・◆・.。
「昊洸、どういうつもりだ‼
華瑠も遠慮なんかしてないで
文句の一つでも
言ってやったらどうなんだ?」
深影さんの言ってることは正しいです。
私は昊洸を気遣ってるつもりで
自分が傷付きたくなくて
何も言えずにいたのです。
『昊洸、私に飽きたなら
自分の家でも
あのご令嬢のところでも
好きにあの家を
出て行っていいのですよ』
言ってるそばから
涙が零れてきましたが
構わす言葉を続けました。
四ヶ月半前、昊洸から
別れを告げられた時点で
運命の輪は
回っていたのでしょうね(苦笑)
こうなる運命の……
なんてことが一瞬頭を過りました。
『華瑠、正直に言えば
僕は何回か彼女を抱いた』
あぁ、やはり……
『では、やはり
あのご令嬢のところに
帰られてはどうです?』
別れないと言った時よりも
何十倍も言葉に棘を含ませて
低めの声で言いました。
『最後まで聞いてほしいんだ……
確かにあいつを抱いた
事実は変えられない。
だからこそ、華瑠を
避けるような形になってしまった……
愛がなかったとは言え
華瑠以外の誰かを
抱いてしまった腕で
本当に華瑠を抱いていいのか
わからなかったんだ……ごめん』
だからあの日も……?
「はぁ~
お前達は本当に
手のかかる奴らだな」
深影さんが
呆れた声色でいいました。
「他の奴らには上手く
言っといてやるから
二人とも今日はもう帰れ」
時刻は昼休み。
『いいのですか?』
お互いに
言葉が足りない
私達に呆れて
二人きりにしようと
考えてくださったのでしょうね。
「あぁ、さっさと帰れ」
私達は家庭科準備を出て
職員室に戻り、
帰り支度を始めました。
数人しかいない職員室を出て
職員玄関に向かいました。
。.・◆・.。*†*。.・◆・.。*†*。.・◆・.。
家に着き、
玄関を閉めたところで
あの日のことを
思い出していました。
そう言えば、私からキスをしたのに
昊洸は抱きしめて
くれませんでしたね。
『昊洸、
明け透けに聞きますが
あのご令嬢とは
そのままシましたか?』
多分、いえ確実に
避妊はしていたでしょうね(苦笑)
『いや、避妊したよ。
僕がそのままシたいのは
君だけだから』
予想通りですね(笑)
『ならよかったです。
昊洸、私をまだ
愛してるとおっしゃるなら
思い切り抱きしめてください』
彼の背中に腕を回し
抱きついた私を
痛いくらいに抱きしめてくれました。
よかった。
ちょっと違いますが
これで仲直りですね(苦笑)
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