恵梨(エリー)とテオ大尉とウリエル司厨長

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  まわりの雰囲気に押されて結婚してしまったけれど、本当にこれで良かったのかな・・・。 オープンデッキから少し離れたリクライニングチェアでグラス2杯のワインに酔って転がっている男が見える。 数日前に挙式し、東京ディズニーランドのカリブの海賊が好きだった私の希望に応じて、横浜港から豪華客船でカリブ海クルーズの新婚旅行へと伴った相手。 夫の牧野大介、32歳だ。 両親も兄弟も親戚筋もほぼ公務員で成り立ち、どこにでもいるような平凡な姿形に、なにを取ってみてもクセのないエキストラタイプ。 その彼とお見合いをしたのは、3ヶ月前だった。 30歳になったのを気にした両親が、秘密裏に伯母に頼んでいたらしい。 もちろん、私自身仕事先の後輩や自分の友人が次々結婚していくのを見て、内心不安な気持ちがなかったわけじゃない。 でも、乙女心に描いていたような王子様もサンタクロースもいないとわかった10歳の時から、何故か結婚するなら絶対に恋愛結婚と決めていた。
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