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彼らは先程の嘘告動画を本人含む学年生徒に送り付け、女子生徒は不登校になってしまったのだ。
「何回見ても笑えるわ」
「次は誰にする?」
「言っとくけど、俺はしばらくやんねーぞ。あんなキモイの、見たくねーし。次はお前らがやれよ」
嘘告のターゲットを決めようとすると、乃亜が釘を刺した。
「なんなら次は男子狙おうぜ。ドーテイのオタクなら、面白い反応見れそうだし」
「うっわ、絵面エグッ! まー面白そうだからいいけど」
璃々花が笑いながら言うと、彼女の電話が鳴った。
「ババァからだ……。めんどいけど帰るわ」
璃々花は舌打ちしながらスマホをしまうと、店を出た。
「俺もそろそろ行こうかな。一昨日買ったゲーム進めたいし」
そう言って摩周も席を立つ。
(乃亜とふたりになれるとかラッキー♪)
乃亜に想いを寄せている香留菜としては、好都合だ。ふたりはノリで、何度かセックスはしたが、交際まで発展していない。
「乃亜ー、この後カラオケ行かない? その前にコンビニ寄ってゴム買おうよ」
「あー、悪い。中学ん時のダチと約束してるんだ。また今度な」
乃亜も店から出てしまい、香留菜ひとりになってしまった。
「乃亜のバカ……」
不貞腐れて小声で言うと、香留菜も店から出た。彼らが使ったテーブルの上は、散らかったままだ……。
「もーサイアク! せっかくふたりきりになれたのに!」
人の目も気にせず、香留菜は路上で叫んだ。
「どーしよっかなぁ。ぼっちでカラオケとかないしぃ、欲しいコスメも買ったばっかだしなぁ。はー、マジだるい……」
「お姉さん、もしかして暇?」
透き通るような女性の声が、香留菜の耳に届く。振り向くと、スーツを着こなした黒髪の女性がにこやかに立っている。
「おばさん、誰?」
女性はどう見ても20代だが、香留菜からすれば年上は全員おじさんとおばさんだ。
「私モデルのスカウトをしてる、小高由美子っていうの。どう、興味無い?」
由美子は名刺を香留菜に差し出した。
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