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「そこにいたのか。」
「お帰りなさい、雅人。」
「俺にも火をくれ。」
夫の雅人もタバコを咥え、私のタバコの火に近づけてくる。
傍から見たら、私たち夫婦はどちらかというと
仲が良くみえるだろう。
お互いの頬が触れるか触れないかの距離。
昔は胸が高まったけど
今はこんな近くにいても
ドキドキしない。
心臓がキュウッとなると感覚が
どんな感じだったのか
忘れてしまった……。
「フゥ……しかし、禁煙が広まっているのに、俺たちはまだ喫煙者だな。」
「そうね……」
「お前はいつからタバコ吸っているんだっけ?」
「……いつからだろう。」
嘘。本当は覚えている。
本当は結婚して3年目から吸い始めた。
夫に子供を作る気がないことがわかったから。
ストレス発散にタバコを吸っている。
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