覚えている快感

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「待って、お願い……っ」 「何で?」 「何でって……だって、結婚しているから……」 「これから先、ずっとセックスしないままでいるつもり?」 私がずっと不安に思っている言葉を ストレートに私に問いかけてくる。 その答えは、私だって誰かに教えてもらいたい。 「もったいないよ……俺は今の愛莉を抱きたくてたまらないのに……愛莉をずっと紙切れ一枚で縛っているなんてズルいよ」 「はっ……んんっ」 唇を塞がれて反論できない。 あぁ…春樹は相変わらずキスがうまい。 相性がいいのか、舌が絡まるたびに力が入らなくなる。 ギュッと握っていた手に力が入らなくなって 少しづつ掌が開いていく。 その様子はまるで自分の心の扉のようだ。 その隙間に春樹の指が入り込んでくる。 決して嫌ではないーー
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