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幼馴染とのデート
亮二と今まで2人で出かけたことなんて
山ほどあった。
学校帰りだって、普通に2人で帰ったこともあるし
独身の時は酔いつぶれてしまって
亮二の店で朝まで寝てしまったこともある。
でも、好きだと言われると
急に隣に立っているだけでドキドキと
意識をしてしまうのは何でだろう。
「何、どうしたw」
「何でもない」
「何でもないわけないだろ!」
「頬っぺたつまむの止めてよ~不細工になるから!」
亮二は私が落ちこんでいると、いつも笑えってほほをつまんでくる。
だけど、決して痛くなく、優しくつまんでくるのが亮二らしい。
普通に今までもこんな風に会話をしていたけど
人から見ればカップルのじゃれ合いみたいにも見える。
周りの人が、微笑ましく私達を見ているが
私の左手の薬指が熱くなっていた。
「愛莉!」
名前を呼ばれた途端、足元がふらついて
引き寄せられた亮二の胸元に飛び込んでしまった。
学生の頃は、体が細かった亮二は
大人になった今は想像以上に厚い胸板になっていた。
「ごめん!ちょっとボーっとしちゃって」
「まぁ、そうだよな、昨日飲みすぎて、しかもうちのバーで寝ていたわけだし。なんか悪かったな」
「今日がいいって言ったのは私だから。どうしても家に帰りたくないから」
「分かった。じゃあ、俺んち来るか」
「え?あ、そういえば亮二の家に行ったことない」
「まぁ、2人っきりになったら、どうなるか自分でも分からなかったからさ」
「え?」
「でも、今回は!もう、手を出さないって宣言したから、手は出さない。ただ、俺の家に来て、今の俺をもっと知ってほしいから」
「…分かった、じゃあ、お邪魔します」
このまま街をぶらぶらと歩いていたほうがいいのではと
心のどこかで思ったけど
二日酔いの身体にはもうしんどくて
亮二の家へと歩くも、眠気もあって身体が重く感じた。
「ん……え!」
亮二の部屋に入ったのは覚えてる。
だけど、部屋に入ったあと、何にも覚えてない!
自分はベッドの上に寝かされているけど
亮二がいない。
「……亮二?今どこ?」
「やっと起きたか(笑)今から家に帰るから待ってて」
時計の針は3時を過ぎていて
自分でも驚くぐらいにぐっすり寝ていた。
「そっか……亮二の香りのせいか」
ずっとそばにいた亮二。
辛い時があった時もそばで慰めてくれて
惨めな思いをした時もそばで見守ってくれた。
私以上に私のことを知っている人。
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